新世紀エヴァンゲリオン
-TILL THE END OF WORLD.-








「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

暗闇の中、ショウは裸足で駆けていた。
ショウの後ろから追い掛けてくる『何か』。
ショウは走る。後ろを見ず、ただただ走り続ける。

ふと、後ろを見た。そして……。

「うわああぁぁぁぁっっ!!!!!」

ショウの絶叫が、暗闇に響いた。




Shou Side

はっと気付くと、最初に目に入って来た映像は白い天井だった。
ゆっくりと上体を起こす。
背中に汗でべっとりと張り付いた病院服が気持ち悪い。
落ち着いてから足の上に乗っかっているものを確認する。
綺麗なサラサラの茶髪。
白い肌。
整った顔付き。
間違いなくそれは幼馴染みのカエデの頭だった。
規則正しく背中が上下している。
ただ寝ているだけの様だ。
昨日、エヴァの中で微かに聞こえたカエデの悲鳴。
そして自分に話しかけて来た声。
色々な事が俺の脳裏にフラッシュバックする。

再びベットに横になり、天井を見ながら俺は呟いた。

「知らない天井だ……」





第参話:見知らぬ、天井
EPISODE 3:START OF NEW LIFE.



『昨日、太平洋沖に出現した使徒の侵攻を、
国連軍と特務機関NERVが使徒迎撃戦線を展開し、使徒を撃退しました』

ピッ

ピッ

ピッ

テレビのチャンネルを暑そうな防護服を着て変えるミキ。

「はぁ、どこも昨日の事ばっか。よくあんなの見ながらカメラ回せたわね。関心するわ」

「でもどこもエヴァの事にはあまり触れていないわ」

「広報部が頑張ってんでしょ?」

「そうよ。暴走時の事を撮っていた人達から徴収したビデオテープの数、どれくらいだったと思う?」

「え?聞いた話だと217本って聞いたけど」

「そうよ。本当、呆れるわ。彼等、徴収する時なんて言ったと思う?」

「どうせ、『私達がやっている事は真実を国民に伝える事だ。真実をありのままに伝えて何が悪い』とかでしょ?」

「当たり。本当、そのまま伝えたら世界は混乱するわ。間違いなく」

「結局、自分達が1番になりたい為にやってるのよね」

「でも、本当に残念そうに去って行く人達もいたわよ。
『世界を混乱させる様な情報を公開する為にジャーナリストになったワケじゃない』
という純粋な人も中にはいたわ」

「本当、そう言う人ばかりなら良いのにね」




がちゃ

リエが受話器を置いた。
トラクターに取り付けられている冷房で涼んでいたミキは彼女に目を向けた。

「いやぁ〜、クーラーは本当、人類が作り出した涼みの極めよね〜」

「ショウ君、気が付いたそうよ。多少、記憶に混乱が見られる様だけど」

「まさか精神汚染じゃないでしょうね?」

「大丈夫。ちゃんと自分の名前も名乗れるみたいだから、心配いらないわ」

「そっか。いきなりだったもんね。昨日は」

「いくら彼が戦い慣れしてるとはいえ、人外のモノと戦うのは至難の技よ」

「そういえば、昨日のあの煙、何だったか解ったの?」

「ええ。あの時は慌てて解らなかったけど、あれはA.T.フィールドよ」

「あれが?」

「ええ。極小のA.T.フィールドを何千枚も同時展開して空気中に漂わせたの。
ただ漂わせているだけで目眩ましの役目しかもたなかったから使徒の攻撃があれを突き抜けたのよ」

「あの子よくあんな状況でそんなの思い付いたわね。関心するわ」

「彼にとっては戦いとは日常だったんでしょ? だからよ」

「慣れって怖いわよね」




Shou Side

ずるずるずる

俺は何故か腰にしがみ付いているカエデを引きずって病院内を徘徊していた。

「あの男の子格好良くない?」

「始めて見たー、機械鎧なんてー」

「可愛いよな、あの子」

「くそー、何なんだあいつ〜」

「きゃー、こっち向いてーっ」

「青い目ってリリンかよ」

そんなひそひそ話を聞きながら病院内を俺は寝坊助な幼馴染みを引きずって歩いている。
元はと言えば心配させた俺が悪いのだが、それとこいつの寝坊助っぷりは関係ない。
まぁ、何故こんな風にしがみ付かれているかは約10分近く前に遡る。




「おい、カエデ起きろ」

俺の足の上に頭を乗せて寝ているカエデ。
俺が目を覚ましてから既に30分近く経っておりいくら何でもいい加減、足が痺れて来る。

ゆさゆさ

揺さ振っても起きない。

くいっくいっ

髪の毛を1本摘んで引っ張っても起きない。
しょうがない、と俺はカエデを起こす最終手段を使う事にした。

「団子、買って来ようかな」

「お団子っ!!」

いきなりガバッと起きあがり辺りを見回すカエデ。
しかし、肝心の捜し物、団子は見つからず。

「ショウ君のいぢわる」

不機嫌にそう言うと今度は俺の腰に腕を巻き付けて爆睡。
それ以降、俺は現存するやり方でカエデを起こそうとしたのだが、生物の三大欲求の前では無意味だった。
回想、終わり。




ずるずるずる

我が幼馴染みながらここまで腕の力と寝る事への執着が強いのは今更ながら恐れいった。
取りあえず後でみたらし団子を装った特製辛子入りみたらし団子を食わせる事にした。




取りあえずは病院のロビーのベンチに座っている事にした。
カエデは未だ起きず、俺の左腕にしがみ付いて爆睡している。
正直、いくら何でも寝過ぎな気がするのだが、下手に起こすと不機嫌になるので止めておく。
……それにしても暇である。
俺の数少ない娯楽の1つである音楽鑑賞……つまりMDは持って来た鞄の中に入りっぱなしだ。
その肝心の鞄は昨日ケージで大葉さんに渡してから行方知らず。
他にやる事はと言えばカエデの様に寝るか、サービスっぽく置いてある本を読む事ぐらいだ。
前者は無理だ。目が完全に覚めていて寝る事は出来そうにない。
後者にしてもカエデがしがみ付いていて下手に動けない。
この眠り姫は下手に起こすと大変機嫌が悪い。
時には殴りかかって来る程だ。
その為それ用の処置を取って起こすのだが、この幸せそうな寝顔を見ていると起こす気がなくなって来る。
まぁ、結局の所。

「暇人だな……」

ぼーっとするしかないのだ。




OutSide

暗闇の中、7つの光が浮かんでいる。
内6つはSEELE。
20年前の惨事サードインパクトを起こした組織。
内1つは特務機関NERV総司令碇シンジ。
20年前サードチルドレンとしてエヴァンゲリオン初号機を駆り前線で戦った英雄と呼ばれる男である。
7つの光の内の1つ、金髪に赤目の老人が口を開いた。

「予想されていた第拾九使徒の襲来。その結末がこれとはお粗末ではないかね碇」

「左様、第三新東京市のシステムダウン、エヴァ初号機の中破。
更にパイロットは初心者の少年かね。君にしては些かミスが多いよ」

「しかし負傷している6thを零号機で出撃させるよりはマシだったはずですが」

「確かに不安定な上に重傷の6thを出撃させる事は世間が許さんだろう。
だがわざわざ新たに8thを選抜し、使徒襲来当日に呼びつけるのは不味いだろう」

「それは承知しています。
しかし新たに選抜された8thはあの如月流剣術の免許皆伝者です。戦闘能力に問題はありませんよ」

「それはパイロットの能力であって今回の結果とは意を決するものだ。
事実初号機は暴走し、使徒を殲滅したと言う現実は変わらんよ」

「しかし6thが出撃すれば上手く行っても足止め、最悪フォースインパクトでしょう。
それよりはパイロットを含めた全人類の生存率が高い方法を取りました」

「……まぁ良い。今回の事は不問としよう。
して、次の議題だがエヴァ参号機と7thを本部に移譲する事になった。
これについて皆の意見を求めたい」

「議長、まだそれは早急なのではありませんか?
まだ使徒は襲来し始めたばかり。それに参号機は最終調整を終わっていません」

「だが使徒の力量は未知数だ。最終調整は本部でやれば良い。
それにチルドレンの護衛として"彼女"を付ける。ドイツ支部でも選りすぐりのA級リリンだ。
不満はあるまい碇」

「はい。実戦を控える本部としても戦力は1つでも多く欲しています。
戦力が多ければ多い程被害も軽くなりますので出来るだけ早くお願いします議長」




Shinji Side

「では本日の議会はこれにて終了とする」

議長……ルシファー・アズラエルの号令によって次々とホログラムが消えて行き、最後に僕だけが暗闇に残った。

「……一体、何を考えているのやら」

後ろから男の声。聞き慣れた、友人の声だ。

「それが分かれば苦労しないけどね。分かっても証拠がないよ」

「……彼等がもしフォースインパクトを企んでいるならば、その内なんかやって来るね」

「そうだね、でも気付いた時にはもう遅いよ。20年前みたいにね」

「……僕が直接侵入して来るかい?」

「いや、まだ良いよ。いざとなったらお願いするよ」

「了解、"碇司令"」




Shou Side

ふと思った事がある。
どうして俺の周りにいる女性は皆一癖ある人物なのだろう、と。
カエデは見ての通り猫娘だし、
師匠はたまーにドジするけど厳しくて怖いし、
黒金に至っては元男。性転換手術を受けてまで女になっている。
槇野はもぅどうしようもないくらいにお転婆だ。
比較的まともなのは神楽とモミジ姉さんくらいだ。
アスカ姉さん(『姉さん』を付けないと首を絞められる)は凶暴で、
レイ姉さん(無言で『姉さんと言わないと締める』と言っている)はひたすら無口。
ユイおば……姉さん(どう考えても『お婆さん』で通るハズだ)は何故か未だに40代。
……子供と年が9歳しか違わないって凄いな。
単純計算で行けばユイさんが9歳の頃に2人を産んだって事なんだが、どうやら色々あるらしい。
興味がないと言えば嘘になるが、どうでも良い事だ。

「ちょっと、さっきから何現実逃避してるのよ」

「いえ、ちょっと身の回りの『やっかい』の整理を」

運転席に座っているミキさんの言葉に答えながら俺は数時間前を思い出す。
まぁ、別段問題らしい問題はないんだが―――。




病院のロビーに座って約40分くらい。
そこにミキさんが来て、連れられるままに着替えさせられてNERV本部に行った。
そんで下の綺麗な森が見える部屋――報告室と言うらしい――で俺達はある事を黒服さん(仮)に言い渡された。

「水無月ショウ特務二尉、および付き人である碇カエデ様には本日付けで戦略作戦部部長加持一尉と同居する事が決定しました。
お2人方は未成年の為護衛も含め保護者との同居が望ましいとされ、決定された事です。
これを撤回する場合は直接司令部に問い合わせて下さい。
加持一尉にはお2人の日常生活間に置ける護衛を命じ、それ相応の手当が付きます」

「それって強制じゃないんですよね?」

「はい。詳しい事は大葉博士か司令部の者に問い合わせて下さい」

「分かりました」

「えっと……お父さんとお母さんと住めないんですか?」

カエデが少しおどおどした感じで黒服さん(仮)に聞いた。

「はい。司令および司令代理、副司令は要人の為ジオフロント内に住まいを置いています。
ですが、この命令自体が司令からの命令ですのでおそらくカエデ様の身元の安全を優先したと思われます」

「つまり司令……シンジ小父さん達は何かと狙われる事が多いから、
そんな危険と隣り合わせの生活するよりもわざと離して安全な暮らしをさせたい……って事ですよね」

「はい、それに司令達はあまり自宅に戻らない為とも聞いております」

「……」

泣きそうなカエデの肩を引き寄せてやる。
まぁ、両親と家族水入らずで暮らしたいのは当然だろう。
なんせ年に3回しか会えないのだ、カエデが両親を恋しく思うのは仕方がない。

「それでは住居に関しては加持一尉に全て権利を委譲致します」

そう言うと黒服さん(仮)は見事な一礼をした後、背を向けて部屋から出て行った。




で、まぁその後ミキさんの車に乗って家に行く事になった。
何でも荷物の手配はまだらしいので途中でNERV本部の売店に売っていた下着とパジャマを買って行く事になった。
そして今現在、夕飯の材料を買うとの事でスーパーに寄っているのだ。

「んー、確か白菜と大根が安かったわよね……」

大根を両手に睨めっこしながらミキさんは俺の背中を見た。

「それにしても懐かれてるわね」

「幼馴染みですから」

それにもう慣れた。
俺の背中で気持ち良さそうに寝ているカエデは爆睡していた。
出来れば起きて欲しいのだが、カエデを完全に起こすのは今無理だ。
大体、寝過ぎである。
土日の半分近くを寝て過ごすカエデはどう言う訳かそれでも寝足りないらしい。
寝て、起きて、食べて、遊んで、食べて、寝て、起きて、食べて、風呂入って、寝る。
カエデの基本的な1日の生活パターンだ。
実に単純であり、パッと見では規則正しい生活パターンなのだが、
昼寝をするのはまぁ普通だし、3食食べるのも普通だ。
が、実は学校ではほとんど寝ているのだ、こいつは。
土日になると夕方まで起きない事もたまーにある。
とにかく、寝過ぎである。一時期本気で肥満にならないかとか、実は病気ではないのだろうかと考えた事もある。
しかしまぁ、完璧に健康体。むしろ健康過ぎてあり余る程だ。

「それに寝るのと食うのと遊ぶのが取り柄ですからね、こいつの」

主に寝るのが大部分を締めているが。

「ま、寝る子は育つって言うし、背中に当たってるんでしょ?」

何が、とは言えない。
そりゃもうカエデだって中学で女で14なんだしそろそろあれであの当たるんですわ。
―――ぶっちゃけ胸が。

「……えぇ、まぁ」

流石にこれは恥ずかしい。
確かに当たるが正直それを狙っておぶった事は1度もない。
事実何か柔らかいのが当たってるなーと思い始めたのが小5の時だ。
あんまり気にせずどこでもすぐに寝るのでこいつをおぶる事が多く、
背中から感じる夏には蒸し暑い、冬には心地良い体温はいつも感じていた。
が、胸の方を気にするようになったのはほんの数ヶ月単位の話で。

「ショウ君ってそう言う話題とか苦手でしょ?」

「よく分かりましたね」

「だってほら、顔真っ赤にしてるしどもってるし」

意識すると恥ずかしい上に気まずかったりするのは当たり前だ。

「まぁ、今は外だしカエデちゃんの胸の事は後回しにして」

また後で話題として出す気満々ですかあんたは。

「体、大丈夫? ミキとか司令は乗っても異常がないとか言ってたけど」

「はい、大丈夫です。途中までしか記憶がないのがちょっとアレですけど」

「あー、まぁそれはしょうがないわよ。完全に制御不能で暴走してたし」

「何で暴走したんですかね?」

「さぁ、ね。分かっているのはコアがショウ君に干渉していた事ぐらいよ」

「何か不思議ですね、エヴァって」

「未だに半分くらいがブラックボックスだからね。仕方ないって言えば仕方ないけど」

そう言いながら買い物かごに野菜を放って行くミキさん。
取りあえず今日の夕飯は家主が作るらしいので俺はそれを眺めているだけだ。
やがて買い物が終わり、車に乗って今日から我が家となるマンションに到着した。

「何か、無駄に豪華ですね」

「それ言ったら終わりよ」

どこからどう見ても高級ホテルにしか見えないマンション。
名称は『コンフォート21』。
部屋は4-1号室なんだそうだ。
俺はカエデをおぶったままミキさんとエレベータに乗り、ついに部屋の前まで来た。

「……ドアは普通なんですね」

「まぁ、マンションだし」

言われれば確かにそうなのだが、いかんせんマンションの見た目が見た目だった。
ミキさんがカードキーで部屋のドアを開ける。

「入って入って。少し散らかってるけどね」

「お邪魔します」

「ちょい待ち、ショウ君」

「はい?」

「今日からいつまでかは分からないけどここが貴方達の家になるのよ?
家に帰ったら言う言葉は何?」

今日からここが俺達の家になる。
戦いが終わるまでか、俺が死ぬまでかは分からないけど。
でも、ここが俺の家になるのなら言う事は1つだけだった。

「ただいま、ミキさん」

「お帰り、ショウ君と眠り姫カエデちゃん♪」

眠り姫は俺の背中で爆睡しているのでこんなやり取り聞いちゃいないだろう。

「今言ったけど散らかってるから。あんま気にしないでね」

そう言われながらカエデの靴を脱がし、リビングまで行った。
マンションにしても部屋が大きい。
リビングは一軒家のように広く、テレビにテーブル、ソファーまで置いてある。
リビングから覗けるキッチンもなかなか広く、使い易そうだ。

「本当にここマンションですか?」

「まぁ、士官用の特別マンションだから」

士官用? それは知らなかった。
ミキさんは一尉で作戦部部長。
俺は確か特務二尉だったな。
軍隊の階級としてはまぁ、上位なんだろう。よくは知らんが。

「ペンペン、出て来なさい」

ミキさんが冷蔵庫……の隣の1回り小さいそれに向かって言った。
一体何だろう、冷蔵庫に何かいるのか?

「……早くしないと焼き鳥にして食うわよ」

「ぐわわっ!?」

あ、何か変なのが冷蔵庫から飛び出して来た。

「ほらペンペン、今日からうちで暮らす同居人にあいさつ」

ミキさんがそう言うと黒い……ペンギン、だろうか。
ペンペンと呼ばれたペンギンが2足歩行で近づいて来て、手(?)を伸ばした。

「えっと……握手?」

「ぐわっ」

どうやらそうらしい。
俺はしゃがんでペンギンの手(?)を握った。
フワフワした体毛……ではなく羽根で覆われた小さな手から生えている爪……と言うか指でしっかりと握り返された。

「この子はね、昔お母さんがとある研究所からかっさらって来た温泉ペンギンのペンペン。
何でも新しい種の生物を生む実験とかでモルモットにされてたんだって。
そのせいで、と言うかそのおかげで普通のペンギンなら火傷しちゃうお湯にも浸かれるの。
色々と遺伝子弄られてるせいで寿命の方も普通のペンギンより長生きでね、推定で後9年生きられるらしいわ」

『あ、因みに今24歳ね』とミキさんが付け加えた。
なるほど、そのせいで元々自然界にいないこいつがいるのか。

「それじゃ、夕飯作るからリビングでくつろいでてね」

そう言ってミキさんは料理を始めた。
リビングは散らかっていると言っていたがそれ程散らかってはいなかった。
ソファーにカエデを寝かせて俺は一息吐いた。
さて、何が出されるんだろうか。




あの後、寝ぼけて大声を上げるカエデを手刀で黙らせ、ミキさんの料理を堪能した。
料理は中華系が中心で、デザートが苺味のゼリーだった。
完全に目を覚ましたカエデが美味しそうにゼリーを頬張っているのを見て、これが新しい日常なんだな、と思った。
そんで風呂入ってもう寝る間際なんだが……寝れない。
11年ぶりに襲来した使徒。
人型兵器エヴァンゲリオン。
不思議な女の声。
どうやらまだ混乱しているらしい。
因みにカエデは眠そうだったので部屋に押し込んだ。もうベットの上で夢の世界に旅立っているだろう。

「……面倒な事にならなきゃ良いんだがね……」

それが今の俺の本心だった。




Out Side

どくん、と暗闇に鼓動が響いた。
更に2度3度。
闇の中で淡く光を放っているのは大きなカプセルだった。
その前には1人の、大柄な男が立っている。
男はカプセルの中身を愛しそうに見つめ、呟いた。

「もうすぐだ。もう少しでお前が蘇る……マリア」

闇には鼓動が響いていた。






後書き

切腹(あいさつ
かなり間が開きました、第三話改訂版です。
最後の方は以前と比べると結構削除した部分が多いです。
代わりに他の伏線を数本ほど張ってみたりしました。
出来れば早く回収したい伏線ですね。執筆次第ですが。
では。







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