夏に咲く紅の花/プロローグ一






山と海に四方を囲まれた村、山海門村。




「この村には伝説があるんです」




人工は僅か一二○○人余りのこの村で、怪奇が起こる。




「昔、連続で五人の女性が死にました」




それは人災か。それとも呪いか。




「その女性達は悔やみきれず十年おきに五人の女性を道連れにするのです」




人災ならば個人の犯行か、組織的な犯行か。




「十年前も、二十年前も五人の女性が夏に死にました」




夏に咲く紅の花は。




「そして、今年が百三十年目」




色鮮やかに、山を、海を彩る。




「もしも私が死んでしまったら」




屈するな、立ち向かえ。




「泣いてくれますか?」




逃げ場は、ない。






夏に咲くの花